不知火文庫

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2017-07-28から1日間の記事一覧

そのレモネードに足りないもの

時刻は23時。漸く掃除がひと段落ついた。額や背中から玉のような汗が溢れ出ている。周囲の空気がねばねばとまとわりついてくる。熱が私から逃げないように空気で包み込もうとしているかのようだ。 今年の夏は随分暑い。夜になっても気温は高いままだ。しかも…

永遠桜

桜の優しい香りが漂う。桜の木の下、淡く青い花びらが広がる。その日、一斉に永遠桜が咲き始めた。それは二人の願いが叶うこととお互いが別れる運命にあることを意味していた。 「桜、咲いたね。」 「うん、咲いたね。」 永遠に咲き続けるといわれる桜が咲い…