不知火文庫

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信仰

「神がいるとして、何のために自らの創造物に様々な不幸を与えているかは誰にも分からない。創造された者達が不幸だと感じたり苦しんだりしていることに気づいていないのかもしれないし、何か大きな理由があるのかもしれないし、何の理由もないのかもしれない。私は、最適化のために必要な不幸だったのかもしれないと考えているけど、どういう風に捉えたとしてもその捉え方の正しさを実証することはできない」

「例えば、神は世界を実験装置かシミュレータとして認識していて、「たまたま」「確率」「分布の広域化」を思考実験しているのかもしれないとか」

「そういうのもあり得ると思う」

「それらの仮説はたぶん全て実証も反証も不可能なこと。科学で分析したところで永遠にわからないだろうな。何を信じるかの問題だから、科学ではなく信仰だね」

「うん。信仰というのは何も神に対するものだけじゃないね。ある理念や世界観を信じること、きっとそれだって立派な信仰だと思う。さっき私は神という言葉を使ったけど、私は神がいてもいなくてもどっちでもいいと思うし、いてもいなくてもそう大差ないとも思ってる。どっちもあり得るだろうし、そういうのは大した問題ではない気がする」