不知火文庫

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If

 ifは甘く優しい時間をくれる。ifのおかげで私は自分の世界の中では強くなった。しかし、その甘い時間はすぐ終わる。。世界にひびが入る。視界に黒い線が広がる。 急に自分が吹けば消えそうなほど弱い人間であるかのような気になる。

 ifは望みを叶える力を与えてはくれない。いつも自身の弱さ、実行力と能力の乏しさを思い知らされて夢が終わる。夢は陽炎のように儚く消えた。心に穴を残して去っていく。まだ少し、あと少し、ずっとずっと夢を見ていたい。その願いが叶うことはなかった。私はそれが嫌だった。覚めない夢を見たかった。 

 いつの間にか、私はできるだけifに触れずに生きるようになっていた。ifの中ではなく、現実の中で生きようと誓った。

 

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 以前に比べるとifに浸ることはずっと少なくなった。そんなことをしても現実は変わらないと認められるようになった頃から、少しずつifの世界と距離を置くようになった。いつ頃からかは覚えていない。気が付くとそうなっていた。そして今、またifと向き合っている。

 

 ifにはもう一つの側面がある。ifは未来に干渉する。手にしたいものを引き寄せ、回避したいものを遠ざける。ifは人に未来へ進む意志を与える。

 望む未来の一部が現実に在れば、たとえ錯覚でもいいから認識できれば、それが未来へ進む力を生む。ifで未来を見つめたとき、人は時に流される以外の生き方を選べるようになる。

 

 私はたくさんのものを失った。そして、それ以上に失いたくないものを得た。

 

 私はまた自分の中にifが生まれたような気がした。きっとそれは、過去の私が歩めたかもしれない今ではなく、自分が進むべき未来を示している。

  一歩踏み出す時はいつも今だ。

 

 

↓「♪お前の意志が夜明けを導く まばゆいほどの気高さで」

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↓「♪賭けるのは命 守るべき愛と (TAROT)カードは配られた」

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