不知火文庫

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達人

 静かに襲い掛かってくるものは劇的に襲いかかってくるものより恐ろしい。身構えたり策を講じたりすることが困難だからだ。静かに襲い掛かってくるものの存在を異常と認識することは劇的なそれよりも難しい。異常を認識することができなければ、達人でもない限り異常に対する構えはとれない。

 身構えられないまま襲われ、気が付く頃には手遅れなっているかもしれない。最後まで気づかずに手遅れを迎えることさえあるかもしれない。

 身構えられない相手は恐ろしい。彼らは私たちの盲点に滑り込み、罠を仕掛けて待っている。

 盲点を補うこと、盲点を突かれても対処できる構え持つこと。それが今の私の課題だ。