不知火文庫

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洗練

 洗練された行為はあまり意識されないときに表出する。

 あることについて、洗練されているとはどういうことかを考えているときに、その洗練された行為を行うことはできない。

 洗練はその過程で必ず意識を要する。しかし、意識は必ず「ずれ」を生む。行為を行うときに洗練とは何かと意識してしまうと、その行為はぎこちないものになる。意識は舞台に上る前までに済ませておくものなのだ。

 

「踊るときに考えるのは最大のミス。感じることが大切なんだ」

 

 洗練された行為は、流れの中に余計な意識が入り込まないとき、自ずと生じる。

 

 

〔追記〕

 そして、洗練について語るこの行為ほど洗練されていないものはなかなかない。

達人

 静かに襲い掛かってくるものは劇的に襲いかかってくるものより恐ろしい。身構えたり策を講じたりすることが困難だからだ。静かに襲い掛かってくるものの存在を異常と認識することは劇的なそれよりも難しい。異常を認識することができなければ、達人でもない限り異常に対する構えはとれない。

 身構えられないまま襲われ、気が付く頃には手遅れなっているかもしれない。最後まで気づかずに手遅れを迎えることさえあるかもしれない。

 身構えられない相手は恐ろしい。彼らは私たちの盲点に滑り込み、罠を仕掛けて待っている。

 盲点を補うこと、盲点を突かれても対処できる構え持つこと。それが今の私の課題だ。