不知火文庫

私設図書室「不知火文庫」の管理人が運営しています。

自制心

本を読んでいるときに、先日、一つ下手を打ってしまったかもしれないことに気づいた。


先日、「この件についてお前はどうしたい」と尋ねられた。判断材料が乏しい上に選択の自由はほとんどなく、事実上二択の問い。状況は、あちらが二人、こちらが一人。


場の雰囲気に飲まれて、僕はその案件が火急のものであると錯覚するよう誘導されていることに気づけなかった。


問われると答えたくなるのが人の性。僕はつい意見を言ってしまった。だが、経験的に判断材料が不十分な状態では「まだわからない」と答えることがベターであることが多い。


これは、文を読み終えるまで意見をクリアカットにしない方が、内容を理解しやすくなる傾向があることとよく似ている。


わからないことがあるとき、不確定要素が大きすぎるとき、そしてその案件が即時対応しなくてはならないものでないときは、意見を差し控えるという自制心で身を守るべきだった。


反省。

雑記

答えに到達すれば、心の縄で括られる。縄の長さの内側に縛られる。心の半径こそ違えど、答えを掴めば、人はそこに居着いてしまう。


答えをその場限りのものとできるならば、答えに到達してもすぐまた自由になれるのかもしれない。


しかし、いつどんなときもそんなことが可能なのだろうか。


答えに対する向き合い方、答えと縄の使い方には、生き方があらわれる。



居着く心に

世界は映らず


掴めば逃す

離せば逃す


この世に問あり

この世に解なし


解なき世に現る解

その理は夢幻か、かりそめか