不知火文庫

私設図書室「不知火文庫」の管理人が運営しています。

語りたいこと

「最近話したいことがどんどんなくなっていっているような気がするんだ」 「ほう」 「話すだけならできるし、意見を求められたら言うこともできるよ。でも、どうしても語りたいというものがないんだ。思い出せないのか、わからないのか、失われたのか、そも…

情熱の置き場

「語ることがないんだ。語りたいものが何かわからないし、語り方もわからない」 「それでも、後に続くもののために何かを遺していくのが学者や芸術家というものではないのか」 そうだと思う。だから、今も遺そうとしているんだ。君はそういう風には思ってく…

思考と感覚と緩募

中編執筆中です。 また、共同執筆したり、互いに励まし合ったり意見を交換したり校正しあったりしてくださる方募集しています。

指相撲

争いごとをする元気があるなら、指相撲でもすればいい。 きちんとしたルールがあり、相手の生身に触れ、精神的に手を取り合う前段階として物理的に手を取り合う動作があり、対話が生じ、かつ命の取り合いにはならないのだから。

脳腸二元論

以下の投稿は友人Wの寄稿によるものです 【脳腸二元論】 これは、人間の進化について、脳と腸の対立構造によって説明しようという試みです。 以下の仮説は、生物の進化は自然選択に従うという仮説を前提としています。表現の都合上、生物が意識的に進化した…

沈黙

うまく黙ることはうまく話すことより難しく、そして強力だ。 www.youtube.com

待ち人2

会いたい人がいる。私はずっと待ち続けている。あの人は気づいているのだろうか。私が嘆いていることに。私が迷っていることに。想いは日々揺らぐ。挫けそうになる決心、いつまで守り切れるののだろう。私は自分に自信を持てなくなる。 報われない想いになる…

理不尽

「私だけなぜこんな罰をうけなくてはならないんだ。理不尽じゃないか」 「ああ、そうだ。お前はたまたま捕まった。そして、たまたま運悪く厳罰に処されることになった」 「不公平だ」 彼は大声で叫ぶ。 「何を勘違いしてる。世の中が公平で慈悲に満ちた裁き…

If

ifは甘く優しい時間をくれる。ifのおかげで私は自分の世界の中では強くなった。しかし、その甘い時間はすぐ終わる。。世界にひびが入る。視界に黒い線が広がる。 急に自分が吹けば消えそうなほど弱い人間であるかのような気になる。 ifは望みを叶える力を与…

沈黙と行動

大切だという意思は行動で示すもの。勝つことや得することよりも大切なものも、心から大切に思っているものも。 大切なものは、大切な理由を口にした瞬間、負け惜しみや嘘になり下がる。他人にとっても、そして何より自分自身にとっても。 もし誇りがあるな…

壊れもの(あるいはStay Gold)

「大切に守られないと壊れてしまうようなものは、淘汰されていくべき存在だから助けなくていいんじゃないの」 「かもしれない」 「じゃあなんであなたはそうしないの」 「なんとなくだよ。そうしたいからそうするんだ」 「それじゃ理由にならないよ」 「理由…

認識できる枠組みの外にはもっと大きな流れがある。そしてたいていの場合、それが認識できるようになる頃にはもう変えることができない。運命は変えられなくなってから我々のもとにやってくる。または変えられなくなったものを運命という。 運命がやってきた…

哲学

「哲学って何のためにするものなんですか」 「やめるためにだよ」

奏(「解放」の続編)

今でも扉を開けたときのことを思い出す。私にとって夢は大切なものだった。別れを告げるとき、私は誰に対してでもなく強がってみせた。悲しくない、つらくない、と自分自身に言い聞かせた。本当はそうではなかった。悲しかった。つらかった。たとえ苦しみか…

解放

夢に対する叶わない願いは私の心を歪めた。私は夢の中に悪いところや欠点、限界、嫌いなところを探しては願望を枯らそうとした。そこまではいかなくても、せめて情熱を冷ましたかった。冷めた心で世界に向き合いたかった。そうすれば、手が届かない苦しみか…

当事者意識

当事者であるという認識がないものは策を講じることよりも誰かのせいにすることに労力をかける。自分が当事者だと認識していれば、そうはならないはずだ。自分を当事者だと認識している人の言葉は立て板に水というようにはならない。当事者であれば少なから…

ある喪失

午後10時。今日は作業がはかどらない。やる気も出ない。今日はそういう日だということをうすうす理解しながら粘り続けたが、どうやら本格的に調子が悪いようだ。 ベッドに寝転がる。伸びをすると腹筋が伸びて気持ちがいい。ベッド脇にある背の低いテーブルの…

必要十分

言葉は多すぎると威力が落ちる。きちんと引き締めなさい。

日記帳(※5000文字くらいあります)

本を探していると、本棚から見覚えのある、手のひらに収まるくらいのノートを見つけた。使用開始日は二〇〇八年五月十三日、使用終了日は二〇〇八年八月三十一日。私が大学二回生の頃の記録のようだ。ノートの中には、当時考えたことや感じたことがたくさん…

切り札

「使うならまだしも、使わない切り札を準備なんてしておいてどうするのさ」 「たとえ使わないとわかっていても、最善策でなかったとしても、刀は使えるようにしておくものだよ。斬ること以上に斬れること、さらに言えば、斬れることより斬れると思われること…

迷い

私が他のものと一緒に居られるのは邪魔にならないときだけのように思えて悲しくなった。邪魔だと感じたら、私は他人をいとも簡単に突き放せてしまえるかもしれない。そんな自分に疲れていた。一緒にいてくれる人に申し訳なく思った。 邪魔になっても共存して…

あるいは無

〔↓のBGMを聴きながら読むと雰囲気が出るかもしれません〕 恐怖で身体が一瞬こわばる。数瞬後、私ははじけ飛ぶように逃げた。全力で走る。絞り出せる限りの力を振り絞る。橋が見えてきた。橋はいけない。目立つ上に挟み込まれると逃げられないからだ。橋の下…

テーブル

私の家に新しいテーブルがやってきた。姉が自分は使わないから、使うならもらってほしい、といって私に譲ってくれたのだ。卓は畳一枚を一回り小さくしたくらいの大きさ、こげ茶色の脚がついていて、その脚からはうっすらと木目が見えている。 私は姉からもら…

笑顔

「あの人の笑顔を思い出せないんだ」 「ふうん」 「なんでなんだろう」 「その人の本当の笑顔を見たことがないからじゃないの。それか、あなた自身が笑えていないからとか」

声2

ある人通りの多い交差点で、大きな声を出して主張を繰り広げている男がいる。そこに二人の男が通りかかった。片方の男がもう片方の男に尋ねる。 「どうしてあの人はあんなに大きな声を出しているのかな」 「…………」 「ねえ聞いてるの」 「…………」 「ねえってば…

Suicide is painless

山の中を歩き続けていると、浅い霧が漂い始めた。私たちは構わず道を踏みしめていく。足元には落ち葉や朽ち木が無数に散らばっている。歩を進めるたびに落ち葉や朽ち木が踏みしめられて、ぱりぱり、ぱきぱき、と小気味よい音が鳴る。朽ちたものを踏みしめる…

父と息子

父が私の家にやってきた。スピーカーの調子が悪いので、修理しに来てくれたのだ。父は私の家に上がり、図書室に入る。 「おお、相変わらずいい部屋だな」と父が言う。 「そうでしょ」 思わず誇らしい気持ちになる。 「秘密基地みたいで面白いよなあ」 父が楽…

よい師になれる器の側には、必ず深い死の影がつきまとう。

光⇔音の同型対応について(備忘録)

光の成分を分光分析して、極大付近の波長成分を音に対応させると視覚的な芸術を聴覚的な芸術に同型変換できるのではないか。 ただ、音楽は時間軸に沿った一次元のシークエンスしか持たないが、画像は空間軸に沿った二次元の広がりを持っている。さらに、映像…

悪いことだとわかっていても手を染めなくてはならないことがある、と彼は言う。彼が言っていることはたぶん正しい。そういうときもあるだろう。禁忌されていることに手を染めざるを得ないような「枠組みの崩壊」は低い確率ではあるが常に起きる危険性を孕ん…